福山競馬と春木競馬

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調査を進めていくにつれて浮き彫りになった福山競馬と春木競馬の関係。

元々通年開催ではなかった福山競馬は、休催中は他所の競馬場へ出稼ぎをしていることが多かった。
遠征先は多岐に渡るが、その中で特に強い結びつきがあったのが園田と春木だったそう。

福山から貨物列車に馬と人を乗せて移動し、福山の開催が始まるまで現地に留まりレースに出場する。

逆もまた然りで春木の人馬が福山に来ることもあったそう。
兵庫も来ていたはずなのだが、なぜか兵庫が来ていたという話は聞いたことがない。

この遠征は1950年代には盛んに行われていたことが判っている。
しかし50年代後半から60年代半ばまでの情報を入手することが難しく、疎遠になった時期は不明。
少なくとも60年代後半には春木から福山に遠征に来てレースに出場するというケースは見られなくなった。
逆の春木へ遠征するケースについては春木の出走表等がほとんど見当たらないため何も判らず伝聞でしか情報はない。

2018/06/20追記
GWの調査で春木競馬に遠征していた福山の騎手を確認できました。
またその調査結果と照らし合わせて新たな憶測が生じました。

地方競馬史第二巻471頁下の(1)台風被害(イ)ジェーン台風の項目に

昭和25年9月3日阪神地区を襲ったジェーン台風~(中略)~福山・徳島の両競馬場に遠征中の大阪所属の騎手と競走馬を急きょ帰阪させ

とある。
春木との交流は少なくとも1950年から始まっている様子。
福山競馬が始まったのが1949年9月18日なので初開催から1年も経たない内から交流があったことになる。


1953年の中国新聞より複写

初めてこの結果表を見た時にはあまりにも詳細が不明の騎手が多かった。
調査を進めていく中で井野口騎手が頻繁に春木に遠征していたという昔からの関係者の証言で明らかになり、初めてこの時分から福山と春木に交流があったことを知る。
貨物列車での遠征について聞けたのもこの時。
春木から帰ってくる時に貨車で馬が死に往生したという話や、福山から連れて行った馬を障害競走に出したなんて話も聞けた。
口伝とは言え当時のことをうかがい知れたことは大きい。

年齢62歳。職業、騎手、なお現役――山中利夫 - king-biscuit WORKS
● 7月31日、金沢競馬場第5競走。C3四組1,400?、11頭立て。 11頭の出走馬たちののべ出走回数、1010回。一頭あたり平均出走回数、91.8回。若い4歳馬二頭を除くと、106.8回。つまり、あれだ、かのハルウララ級がずらり並んでいる、そんな競馬だとまずおぼしめせ。 ああ、これぞ地方競馬のその他おおぜい、日々繰...

その後も交流は続いていたものの、免許がどの程度まで有効かなどの規定が定められていく中でレースでの騎乗が難しくなっただけで、表に出ない部分で交流は続いていた様子。

福山について知るため、外堀を埋めていく作業に入る中で春木についても可能な限り調べ始めた。
しかし本当に情報が少ない。
廃止された時期が極端に早いわけではないので情報がないことはないが、ほとんどが廃止に至るまでの顛末が述べられている物ばかり。
大阪府立図書館に赴いたこともあるが、時間があまりなかったにせよ、何の収穫もなかった。

初めて春木競馬について調べようと思い立ち数年が過ぎたある日、何気なくオークションサイトを眺めていて遂に春木について知れる物を見つける。


春木競馬の出走表

物持ちが良い人がいたものだ。
落札してさっそく調査を進める。

フルネームが判ることで調査が捗る。
たとえば小国高司調教師、もしかすると1953年の出走表にあった「小國」とは同師のことなのかもしれない。
この「かもしれない」が次の調べる方向性を決定づけて点と点が線で結びついてくれるはず。

これについては情報を広く提供していくことが最善であろう。
春木の出走表・結果表をレースごとに抜粋するので何かご参考になることがあれば幸い。
そしてもしこれを見て何か情報をお持ちであれば、ぜひ情報をご提供ください。

また当サイトの検索で春木に所属していた騎手・調教師について検索もできます。
情報不足が過ぎますが僅かでもお力になれば、と。




コメント

  1. bingosaru より:

    最後の福山騎手会長だった黒川知弘元騎手の祖父都起哉氏が春木競馬で騎手をしていたという話を聞いたことがあります。伝聞ソースで一次情報にあたった訳ではありませんがご参考まで。

    • FCK_no_blog より:

      コメントありがとうございます。
      少し更新が滞っていたためコメントに気づくのが遅くなってしまいました。

      黒川都起哉氏が春木でというのは私も伺ったことがあります。

      そしてその事を知った後に長居競馬で「黒川」という騎手が騎乗しているのを見つけました

      https://xn--l8jta2dp1b4j5393a0x5bowck05i.xyz/2018/05/10/nagai1958/

      北海道から遠征していると思われる騎手が多くおり黒川違いの可能性もありますが、春木で騎乗しているのなら長居でも騎乗していて不思議はなく、同氏の可能性はかなり高いのではないかと思っています。

      YouTubeで懐かしいレース映像をアップしていただきありがとうございます。

  2. ほんわか王子 より:

    大瀬戸豊・平床良博・山中利夫……
    いずれも金沢競馬で平成まで活躍を
    続けた騎手たちですね。そして寺嶋
    正勝は園田競馬の名騎手に成長、実況者の
    吉田勝彦も園田で後々まで親しまれました(^^)

                   (文中敬称略)

    • FCK_no_blog より:

      春木に所属していた騎手は各地で活躍されました。
      当時からベテランの域だった木明と青木の2名は笠松へ移籍し、騎手を引退されるまでコンスタントに勝ち鞍を増やし続けました。
      特に木明騎手は山中利などが台頭してくるまでのリーディング騎手で、73年以降でなくデビューからの通算成績が気になるところです。

  3. ほんわか王子 より:

    かの河内洋の兄が春木で騎手を
    していたと聞きます。あいにく、
    上の10レースのどれにも名が
    見当たらないようですが(T_T)

  4. ほんわか王子 より:

    調べてみたら、河内洋の兄で春木の
    騎手をしていたのは河内幸治という
    人で、騎手DBに載っている義昭は
    彼らのおじに当たり、なぜか新潟で
    調教師をしていたようです(@_@)

    • FCK_no_blog より:

      河内幸治騎手がいつデビューしたのかが判れば色々と調べることは可能ですが、おそらく1973年以前に騎手を廃業しているものと思われます。

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